サテンドール魅力の秘密
こんな魅力の秘密教えます! 1.おいしさの秘密 2.楽しさの秘密 3.井上社長の若さの秘密 4.サテンドールのJAZZ 5.成功の秘密 6.伝説の数々
ジャズレストラン六本木サテンドールオーナー井上社長

Vol. 23  10年前の『旨くて安い良心的な店の見つけ方』の原稿を発見

私は常連のお客様もいなくて比較的暇な夜の営業中は書き物をしているのですが、実を言いますとこのテーマ(『旨くて安い良心的な店の見つけ方』)をコラムに載せようと考えていたのですが、いざいくつか書き始めた時にスタッフがある原稿を持ってきました。その原稿は約10年前に同じ題名で大量の文章(A4サイズ67ぺージ)を書いてPCで入力してもらい保存していた原稿でした。私自身は全く覚えていなくてつくづくいい加減だなぁと思いました。

既に10年の月日がたってその時に書いていた内容的にはもう既に古くなってしまっているのもありますが、いくつかご紹介します。

 ◎旨くて安い良心的な店の見つけ方

  • いい店かどうか判断法我々が外食する時のパターンをまず考えてみましょう。恋人と二人で、接待で(女性がいる場合、多人数でと何通りもあります)、気のおけない仲間と数人で、男性のみ、女性のみ、男女混合、老いも若きも。

    わいわいと楽しく、ゆっくりと話したい、お客様を楽しませてあげたい、純粋に美味しいものを食べたい。

    予算(料金はいくらなのか)

    店がおしゃれで雰囲気の良い所、サービスが良くて落ちつける、何よりも味を重視。

    これらのことを明確にしその日の行くべき店を判断すれば良いと思います。

    私にも苦い思い出があります。基本的には一緒に食事に行く場合食べることの好きな人と行くようにしています。なぜならば折角美味しいものを食べに行っても、味オンチの人と行っても楽しくないし、腕の良い料理人がいる場合、お店の人に対しても失礼だからです。私はいいお店は大切にしたいし、料理人も私が行くと、味がわかり一生懸命食べてくれる人が来た、と期待します。それを裏切りたくないという事です。ある時私の友人の男性1人、女性1人の計3人で食事に行く事になりました。その二人は初対面でしたが、会ったその日から気が合ったのか話が盛り上がり、その日は私の一番のお気に入りのてんぷら屋さんで食事したのですが、いくらすすめても箸をつけずに話し込んでしまったのです。勿論、天ぷらは冷めてしまって味が落ちるし、職人さんも食べなければ次が出せず困ってしまいます。この時ほど職人さんに悪いことをしたと悔やんだことはありません。そして、よく考えて見れば、二人ともあまり食べることに興味がない人たちでした。

    この日以来、その日一緒に食事する人によりよく考えて店選びをするようにしています。このような事を考慮して皆さんも店選びを考えて下さい。

    それでは、私が考える良い店選び、特に味重視で考えてみましょう。

    うまくて安い店(無駄な経費をかけていないか)

    ・家賃—-デパート、ホテル、最新のインテリジェントビル、こういった所へ入れば全てではありませんが入居保証金が莫大でそのお金にも金利がかかってきます。家賃・共益費等の経費も一般のビルに比べ2倍以上はします。全体の売上げの20%ときいています。1500万円売上げれば家賃は300万円になります。因みにサテンドールは1,500万円売り上げても家賃は90万円(別途共益費があります)です。そのように経費がかかる分材料費を落とすことが考えられ、その分味が落ちてしまいます。そのようなことを考えれば、腕に自信のある料理人ならば、少しでも安くていいものを出したいと考えれば多少へんぴな場所でも無駄な経費を省くことを考えます。だからそういう場所においしい店が多いのです。駅前の一等地のような所で安くて旨い店というのはほとんどありません。

    また本当に味重視で選ぶなら、非衛生的でなければ店が多少安普請な店の方が無駄な経費がかかっていない分(厨房はあまり大きくは変わらないが店の内装費は2倍3倍の差が出ます)安い料理を提供できるはずです。

    最も低料金にできる店は、夫婦と息子が自分の家(借り入れ金返済ずみ)でお店を営んでる場合はどこよりも安く料理を提供できるはずです。

    但し、へんぴな場所にある場合も経営者がまったく経費面を考えず、世間一般の料金を参考にして値付けした場合は別です。

    ・人件費—飲食店の経費で大きく関係するのが仕入れ値と家賃、それになんといっても人件費です。

    日本人の所得は世界でもトップクラスですがアジアの国々の所得はまだまだ低所得です。従ってインド料理、タイ料理、台湾料理、中国料理等の店で本場から料理人を呼んでいる場合、その重要な経費を大幅に抑えられ、その分安く料理を提供できるはずです。私のよく行くインド料理店のマネージャーに聞いたところでは、コックは10数時間の労働で月10万円位、但し年に一度インドへ帰国させます。そして部屋代・食事代の費用は別です。4~5店舗をみている総料理長でも30万円だそうです。それでも日本へ行きたくて順番待ちだそうです。多分、半分のお金を貯金して国へ持って帰ったとすれば豪邸が建つ程の値打ちがあると思います。日本の一流ホテルの総料理長ともなれば軽く年収1千万を超える事を考えれば経費面で雲泥の差です。但し、この場合も経営者の考えでその分は経営者が儲けているだけという事もあります。

    ・カード—カードというのは、我々レストランの経営者にとっては痛し痒しといったところで、その約6%(約10年前で、現在は約4%です)という手数料は経費的には非常に大きいです。仮に月々1千万円の売り上げのある店で半分のお客様がカードで支払われたとすると、それは30万円になります。しかもすぐにお金は入りませんし、何社もあるカード会社への郵送の手間とその人件費等も考慮すると、ちょっとつらいものがあります。その30万円というお金は実際は利益の部分です。

    私の経営する六本木サテンドールではここ十数年売り上げの20%くらいがカードの支払いですが、このところカード会社にも新しい動きが出てきて、利率を徐々に下げる方向へ変わってきているようです。しかし我々の店でもカード社会へといわれて久しいですが、そのような経費がかかってもやはりカードご利用のお客様を失くす訳にもいかず、理想を言えば、確かアメリカでは3%位と聞いていますのでそれくらいになれば経費的にそんなに大きな問題でなくなると思います。またそれ位になれば、真のカード社会と言われる時代になるのではと思います。

    このような厄介なカードですが、店の形態にもよるとはいえ、「うちはカードは使えません」と強気の商売ができる店というのはやはり経営者として味に自信があるし結構繁盛している店と判断材料になると思います。まず売り上げが落ちれば、経営者がそろそろカードを扱うかと考えるのも売り上げを伸ばす一つの手段だからです。

    但し、カードがないから全て味に自信の店とは限りません。

    昔ながらの職人で、そんな面倒くさいことはできない、そしてそんな経費はもったいないというケチな考えの人もいるでしょう。

    最後にカードを置いたからには、手数料を取ったり3000円以上しか使えませんなど、せこいやり方はあまり感心しません。潔くやることがよい経営者であり店であると思います。実際、六本木でランチを食べて気持ちよくカードを使わせる店は、全て料理もサービスも満点に近い店ばかりです。これらの店は経営基盤もしっかりしているようで、おいしくてサービスの良い店かどうか判断する材料になりそうです。

    ・材料の無駄—-無駄な経費をかければ即料金にはねかえってきます。

    異常に多いサービススタッフや料理人がいないか、それは全て経費であり料金にはねかえってくるのです。

    また材料を大切に無駄をしていないかという事も重要な事です。これまでの約30年間のサテンドールの歴代のシェフを見ても、同じメニューを引き継いでいるにもかかわらず32~3%の原価率であったのが38%になったりした事がありました。その原因は前のシェフは魚一匹買っても頭やほっぺたの骨に付いている身をスプーンでこそげ取り、それをためて魚のテリーヌにしたり、といった創意工夫が随所に見られました。そして、食材をうまく回していかなければ古くなって中には捨てる物も出てきます。急な雨や風で食材が売れ残ってしまうという不測の事態がいつ起こるかわからないのです。

    結論を言えば、常にアンテナを広げ、いい業者を見つけ安くいいものを仕入れ、無駄を無くすという事です。そして河岸に自ら足を運ぶ事が大切です。ある知り合いの和食の店では、本当に安くていいものを出すのでいつも繁盛していました。その訳は、河岸が終わるころに行き、拾い買いをするのです。スーパーやデパートでも閉店の1時間前位に寄ると魚等の鮮度が大切なものは投げ売りのように半額は当たり前というように割り引かれます。彼はいつもそのような買い方で仕入れて安く売っていたのです。和食系の店なら、店主自ら河岸に行っているかどうかという事が重要なポイントになります。